※本記事は一般的な情報整理であり、個別の事情で結論や費用は変わります。具体的な適用可否・手続き・税務の扱いは、取扱金融機関・公的機関・専門家に確認してください。
「家族信託って、100万円くらいかかるって聞いたけど…本当?」
ネットで調べると、「5万円〜」という数字も出てくれば、「100万円以上」という数字も出てくる。いったいどっちが正しいの?と、余計に不安になってしまう方も多いのではないでしょうか。
こんにちは。介護×相続×終活の手続き伴走ブロガー、アオゾラパズルです。
私はこれまで、家族・親族の4人の相続を経験し、介護や実家じまいにも深く関わってきました。元事務職として契約書作成に携わった経験もあります。それでも、「家族のお金と法律」の現実に直面したとき、費用の不透明さと複雑さに戸惑ったのは事実です。
この記事では、家族信託にかかる費用のリアルな相場を、実務経験者・当事者の両方の視点でまとめます。
- トータルでいくらかかるのか
- 成年後見制度と長期で比べるとどうなるか
- 「自分でやれば安い」は本当か
読み終えたとき、「我が家の場合、だいたいこのくらいかかりそうだな」という感覚と、次に動くための手がかりが見えてくるようにまとめました。
〖結論〗家族信託の費用相場(目安)
「結局いくらかかるの?」に、まず答えます。
家族信託の費用は、50万円〜100万円前後と説明されることが多いです。
ただし、資産の種類(不動産の有無)・設計の複雑さ・依頼先の支援範囲によって大きく変わるため、最終的には見積もりで内訳を確認するのが確実です。
※本記事は一般的な情報整理です。費用・税務・手続きの扱いは個別事情で変わります。最終確認は、取扱金融機関・公的機関(国税庁/公証役場等)・専門家で行ってください。
費用は大きく「①専門家報酬(設計・契約書など)」「②公証役場の手数料等(公正証書にする場合)」「③登記の実費(登録免許税など)+登記を依頼する場合の報酬」の3つに分かれます。
変動幅が出やすいのは①の専門家報酬です。見積もりでは、対応範囲(契約書作成・金融機関対応・税務の確認範囲など)と、追加費用が発生する条件をセットで確認することをおすすめします。
| 項目 | 費用の目安(例) | 備考(変動要因/見積もりで確認) |
|---|---|---|
| ① コンサル・設計報酬(専門家報酬) | 数十万円〜(難易度・対応範囲で幅) | 不動産の有無/家族関係・希望の複雑さ/金融機関対応の有無で変動。「どこまでが基本料金か」「追加費用が発生する条件」をセットで確認。 |
| ② 公正証書作成(公証役場の手数料等) | 数万円〜(内容・目的価額等で変動) | 目的価額/条項量/正本・謄本の交付/出張(病院・施設等)の有無で変動。概要を伝えて概算確認するとズレが減ります。 |
| ③ 登記費用(実費:登録免許税など) | 評価額・登記内容で変動(+司法書士報酬は事務所により異なる) | 土地の「所有権の信託の登記」は0.4%(軽減措置は令和8年3月31日に終了)。建物は一般に0.4%。現在の税率・要件は国税庁資料等で確認。「実費」と「報酬」が別建てかも必ず確認。 |
※土地の所有権の信託の登記に係る軽減措置(0.4%→0.3%)は、令和8年3月31日をもって適用期限が終了しています。現在の税率については国税庁の最新情報をご確認ください。
参考リンク:
・国税庁:登録免許税の税率の軽減措置
・日本公証人連合会:公証人手数料
見積もりで必ず確認したい3つのポイントはこちらです。
- トータルでいくらかかるか(基本料金+追加の可能性を含めて)
- 実費(登録免許税・書類取得・交通費など)が別でいくらか
- 追加費用が発生する条件(変更回数、資産追加、金融機関対応など)
→ 口座開設でつまずきやすいポイントも書いています。
成年後見制度 vs 家族信託:10年間のコスト感
「初期費用が高くて、なかなか踏み切れない…」という方に、少し違う角度でお伝えします。
家族信託は、たしかに最初にまとまった費用がかかります。でも、比較対象として成年後見制度を選んだ場合、毎月の報酬が長期にわたって続くことになるケースがあります。
1. 成年後見制度の場合
家庭裁判所が選任した専門職後見人等に、報酬を支払い続ける形になることがあります。報酬は家庭裁判所の判断や資産状況で変わりますが、私の住む地域では「月数万円程度」と説明を受けたことがあります。
※後見人等への報酬は、後見人等からの申立てをもとに家庭裁判所が決定します(一律ではありません)。家庭裁判所が公表する「報酬額のめやす」では、通常の後見事務の基本報酬は月額2万円が目安とされ、管理財産額が大きい場合は月3〜6万円の例が示されています。特別な行為がある場合は付加報酬が加算されることもあります。詳細は申立て先の家庭裁判所資料で確認してください。
参考:大阪家庭裁判所「成年後見人等の報酬額のめやす」(令和7年4月版)
仮に月3万円が10年間続いたとすると、概算でこうなります。
- 月3万円 × 12か月 × 10年 = 360万円
もちろん、これは試算です。実際は前提条件で大きく変わります。加えて、資産の運用や処分に制約が生じる場合もあります。
2. 家族信託の場合(私の実体験)
- 初期費用:約50万円(私の場合)
- その後の管理コスト:家族で管理する場合、外部への継続報酬は抑えられることがあります。ただし、記録・振込・報告などの手間や実費は発生します。
私自身は約50万円を払いましたが、「将来の不確実性に備える手段のひとつとして、払ってよかった」と感じています。同じ判断がすべての方に当てはまるとは限りませんが、初期費用だけで比べると損をすることもある、というのが正直な実感です。
なお、伯母のケースでは不動産の売却が先に終わっていたため、信託の管理対象は「信託口口座の現金中心」になりました。手続きは比較的シンプルに進みましたが、「身内だから無償で」という運用が長続きしないこともある、とも感じました。
コストは下がっても、家族関係を守るために「報酬あり」を選ぶのも、現実的な選択肢のひとつではないでしょうか。
実家売却の経験から学んだ「タイミング」の重要性
私は、祖母と伯母の施設入所・自宅売却が同時期に重なった時期があり、正直てんやわんやでした。そのなかで学んだことのひとつが、不動産をどのタイミングで信託に組み込むか、という判断の大切さです。
売却「前」に信託する場合
親の判断能力が低下した場合でも、契約内容によっては受託者(子など)が売却手続きを進めやすくなることがあります。「売りたい時に売れない」という事態の回避につながる可能性もあるかもしれません(※契約設計・金融機関対応・手続きはケースによります)。
売却「後」に現金を信託する場合
伯母のケースはこれでした。売却して手元に入った資金を、詐欺や口座凍結のリスクから守る目的で「現金(口座)」を信託しました。
法律は一つでも、家族の形とタイミングはそれぞれです。売却を考えているなら、「親が元気なうち」に相談しておくと、選択肢を確保しやすくなります。後から慌てないための情報収集として、早めに動いておくことに損はないと思います。
「自分でやれば安い」は本当?事務職経験者の私がプロに頼んだ理由
「契約書を作るだけなら、ネットのひな形で安くできるのでは?」
事務職で契約書に慣れていた私も、一瞬そう思いました。でも結論として、”全部自分で”は難易度が高いと感じました。
私が依頼したときも、紹介された地方銀行の担当者が司法書士・弁護士に確認しながら進め、司法書士側も税理士と連携して慎重に対応していました。プロ同士でも確認が必要な領域なんです。
専門家に任せるべきだと感じた理由は2つ
1)銀行の壁(口座が作れない可能性)
自作の契約書だと、金融機関での信託口口座の開設を断られるケースがあるようです。口座開設でつまずくと、想定していた運用が進めにくくなる可能性があります。
2)税務の壁(申告・届出の抜け漏れ)
信託の設計や運用次第で、提出書類や課税関係が絡むことがあります。「必要書類・申告の要否」は、専門家や公的情報で事前に確認しておくと安心です。素人判断で進めると、後から税務面で指摘を受けるリスクも出てきます(※要件により異なります)。
専門家に依頼するかどうかは、費用だけでなく「説明のわかりやすさ」「設計の妥当性」「対応範囲」「将来の運用のしやすさ」まで含めて判断できると、後悔が少ないのではないでしょうか。
まとめ:まずは「我が家の見積もり」を取ることから
一人で調べていると、「5万円〜」「100万円以上」という両端の数字だけが目について、かえって判断しにくくなることがあります。
まずは自分の家の条件(不動産の有無・管理したい資産・目的)を整理してから見積もりを取る。それだけで、選択肢(家族信託/後見/その他)を比べる土台ができます。
- 自分の家だと、具体的にいくらかかるのか
- どの専門家(司法書士/弁護士/信託に強い金融機関 等)に相談するのが合っているか
実績のある専門家の無料相談を活用して、「我が家の見積もり」を取ってみる。それが、後悔しない予算計画への、いちばん近道かもしれません。
余談:相場を知るには”複数見積もり”が最短
住宅の相場を知りたいと思った私は、次の3か所で見積もりを取りました。
- 地元(建物がある市町村)の不動産屋さん
- 全国区の大手(中古住宅も扱う会社)
- 不動産売却査定サイト(例:ホームズ等)
祖母・伯母の分で、結果的にかなりの社数になりましたが、各担当者の話を聞くうちに「共通点」「強み」「ネック」が見えてきました。当時は必死でしたが、担当者の方々に助けられた部分も大きく、今でも感謝しています。
この記事が、少しでもお役に立てればうれしいです。



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