家族葬とは?「家族だけ」は誤解かも——費用・形式の変化と準備の現実 | アオゾラパズル

葬儀・供養

「家族葬って、家族しか呼べないんでしょ?」

伯母からそう言われたとき、私は一瞬固まりました。

伯母には子どもがなく、伯父もすでに亡くなっています。
だから「自分の家族=自分だけ」→「家族葬=自分一人の葬式」という式が成立していたようです。

いやいや、血族も家族でしょう。私はどうなるんだ……と、心の中でそっとツッコんでおきました。

家族の形は人それぞれです。
でも「家族葬=家族だけ」という思い込みは、伯母に限らずよく耳にします。

この記事では、私が2011年から2025年にかけて経験した4つの葬儀を振り返りながら、「家族葬」という言葉の実態と、費用・形式の変化をまとめています。
葬儀を「考えはじめたい」方に、少しでも参考になれば嬉しいです。

アオゾラパズル家の葬式遍歴(2011〜2025)

2011年——父と伯父の葬式:形式をこなした、あの春と冬

東日本大震災の年。私は内陸に住んでいます。
その混乱のさなか、父が6月に、伯父が12月に亡くなりました。

当時はまだ「家族葬」という言葉が今ほど浸透しておらず、”小さくやる”という発想自体がなじみにくい空気でした。
町内会・会社関係者・遠方の親戚——「呼ばないと失礼」と言われる圧力が、確かにありました。

父は不慮の事故で亡くなり、ニュースにも取り上げられました。
新聞を見て参列してくれた方も多く、通夜・告別式・初七日がセットで、香典返しのリスト作り、喪主挨拶の原稿……。

悲しむよりも、形式と段取りに追われていました。
「父ときちんとお別れができなかった」という感覚が、今も残っています。

一周忌までの費用は、合計で約300万円。
「見送る」というより、「行事をこなす」という感覚でした。

——あれから15年。「あの朝、声をかけていれば」という後悔は、今でも消えません。

2021年——祖母の葬式:コロナ禍で「呼べない」を経験して

コロナ禍の2021年、祖母が96歳で亡くなりました。

火葬場は1家族4名まで。飲食禁止。通夜・告別式も短縮。
遠方の叔父は持病があり呼べず、施設入所中の伯母は1時間だけ対面。
新聞のお悔やみ欄にも載せませんでした。

参列者は私と弟の2人。
斎場で祖母の耳元に「おつかれさん」と声をかけて送りました。
耳が遠かった祖母に、最後の最期まで耳元で話しかけていましたよ。

「あと一歩で曾祖母と並べなかったね、婆ちゃん。」(曾祖母は97歳でした)

形式を減らした分、家族でゆっくり話す時間が生まれました。
「家族葬」という言葉が、「小さくても心を込める葬式」に変わったと実感した出来事でした。

2023年——叔父の葬式:「直葬」という選択

2023年、叔父が突然亡くなりました。

長年の親族間のもめごとが重なっていたこともあり、「呼ばなければいけない」よりも「呼びたくない」という空気が先にありました。
葬儀形式は「直葬」——警察署の安置所で1週間安置ののち、そのまま火葬場へ。
位牌も法事もなし。

私はできることを探し、神社仏閣巡りで集めた御朱印帳2冊を棺に添えました。
「本当にこれしかできなかった」という思いが、今も残っています。

その後、相続放棄や多額の未払い金の処理に、約1年走り回ることになりました。

今は、七回忌まで1年365枚の写経を書いて、菩提寺や観音巡りの際に納めています。
それが私なりの、叔父への送り方です。
写経とブログは、いつの間にか私自身の習慣になりつつあります。

家族葬の費用と形式の変化(2011〜2025)

体験を重ねながら感じた「葬儀の変化」を、全国データでも調べてみました。
コロナ禍をきっかけに小規模化が一気に進み、今や家族葬は”当たり前の選択肢”になっています。

年度家族葬割合(%)家族葬費用の推定相場(万円)形式の特徴・変化
2011約30約180〜200一般葬が主流。家族葬は少数派。
201531.3約184徐々に家族葬比率が増加。
202040.9約184コロナ前は費用横ばい。
202255.7約111コロナ禍で小規模化、一気に増加。
202450.0約119アフターコロナでも家族葬が主流。
2025約50〜60約120〜150地域差あり。簡素化傾向続く。

2011〜2015年は一般葬が半数以上で、費用は200万円前後。
コロナ禍の2020〜2022年に家族葬が50%を超え、費用も約半額に。
2024年以降も「小さくても丁寧に送る」傾向が続いています。

※費用・割合データは以下の公開資料・調査記事をもとに筆者が再構成。
出典:
[1] しゅう活Life「葬儀費用の全国平均」
[2] 暮らしの友メディア「葬儀費用の推移」
[3] いい葬儀ガイド「家族葬の費用相場」
[4] SOOGI.JP「葬儀業界ニュース」
[5] 同上「2024年の葬儀トレンド」
[6] むすびす葬式知恵袋「一日葬の参列マナー」
[7] Life Group note「葬儀業界の変化」
[8] 小さなお葬式コラム「家族葬の最新動向」
[9] SOOGI.JPニュース
[10] Delight社「東京23区データ」

「家族葬」は、誰のための葬儀か?

伯母の「家族葬って家族しか呼べないんでしょ?」という言葉に戻ります。

今の家族葬は、「呼ぶ人数」より「どう送るか」を中心に考える葬儀です。

  • 家族だけで静かに
  • 親しい友人だけを呼ぶ
  • 無宗教で自由に演出する

葬儀社のプランも「一日葬」「直葬」「オンライン葬」と多様化しました。
「家族葬」という名前でも、中身は人の数だけあります。

伯母には、これまでの経験をもとに「どんな葬儀形式がいいか」を少しずつ話すようにしています。
嫁ぎ先から離れて復氏(旧姓に戻す)した伯母が、永代供養を選ぶのか、祖父母の墓に入るのか——いわゆる”終活”の話です。

ただ、この伯母がなかなか一筋縄ではいかない(笑)
父や祖母が心配していた理由が、ようやく分かってきました。
その話はまた別の記事で。

まとめ——形式より「誰のための葬式か」を先に考える

2011年から2025年まで、4つの葬儀を経験して気づいたことがあります。
それは、「葬式は誰のために行うのか」を最初に決めることが、あとの判断をずっとラクにするということです。

  • 「呼ばない」勇気を持つ
  • 見せるための形式より、故人と自分が納得できるかを優先する
  • 小さくても、丁寧に送る

葬儀の形が変わっても、別れの思いは変わりません。

今現在も、伯母の葬儀をどうするか、納骨はどうしたいかを話しながら進めています。
「私はこうしたいな〜」という何気ない独り言でも、聞いていたら覚えておく。
それが、できる準備のひとつなのかもしれません。

——私にとっての家族葬は、泣いて、笑って、また前を向くための「再スタートの儀式」です。

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