家族信託を進めるうえで、公証役場での手続きは「書類が揃っていれば終わり」ではなく、当日の本人確認・意思確認・必要物の確認まで含めて進みます。
私は親族の家族信託で、公証役場当日に持ち物の行き違いが起き、予定が崩れかけた経験があります。この記事では、その体験をもとに、親族の老いを責める方向ではなく、当日の混乱を減らすための段取りという観点で、できるだけ冷静に整理します。
親の介護・相続準備は、手続きそのもの以上に「家族の足並みを揃えること」が難しいと感じる人が多いと思います。この記事は、私の体験を材料にしつつ、当日の混乱を減らすための段取りを中心にまとめます。
※本記事は筆者の体験談を含みます。家族信託や公正証書作成の要件・必要書類・運用は、案件や公証役場の判断で異なる場合があります。最終確認は、担当の公証役場、日本公証人連合会・法務省等の公的情報、または司法書士・弁護士などの専門家にご確認ください。
(体験談)公証役場当日に起きた「持ち物の行き違い」
悪天候の日に発覚:実印が手元になかった
その日は大雪で、交通にも影響が出るほどの天候でした。司法書士さんと待ち合わせ、公証役場へ向かいました。
事前に「忘れ物はない?」と確認していたのですが、手続きが始まる直前に、重要な持ち物の一つである実印が見当たらないことが分かりました。伯母は施設に置いたままだったようです。
「印鑑証明書があるからいいでしょ?」という認識のズレがトラブルになりやすい
実印が見当たらないと分かった瞬間、伯母が「印鑑証明書があるからいいでしょ?」と発言しました。すると公証人の方から厳しい注意が入り、場の空気が一気に引き締まったのを覚えています。
公証役場では、当日の本人確認・意思確認に加えて、必要物が揃っているかの確認も含めて手続きが進みます。書類があるからといって当日の準備(必要物や確認手順)が省略できるとは限らないため、事前案内に沿って準備し、当日は公証人の指示に従うのが安全です。
※本段落は筆者の体験談です。必要物や運用は案件・公証役場により異なる場合があります。具体の要件は、担当の公証役場や同席する専門家の案内に従ってください。
合理的な代替案があっても、家族の判断は必ずしも揃わない
大雪で往復には時間がかかる状況でした。そこで公証人の方から、近隣で印鑑を購入し、市役所で印鑑証明を再取得する方法もあると提案がありました。時間効率を考えれば、現実的な選択肢の一つだったと思います。
ただ、伯母はその方法を選ばず、「施設にある印鑑を取りに行く」と判断しました。運転して戻るのは私でしたから、正直なところ気持ちは揺れました。
一方で、こうした場面は珍しくありません。40〜50代で親世代の手続きを担う人が直面しやすいのは、段取りを進めたい側の「合理性」と、本人の「納得感」やこだわりが一致しない瞬間があることです。公証人も司法書士さんも手続きを前に進めるための選択肢を提示してくださっていたのだと、今は理解しています。
この経験から痛感したのは、当日の持ち物確認だけでなく、「想定外が起きたとき、誰がどう判断するか」まで事前にすり合わせておく重要性でした。本人の意思を尊重しつつ、動く人の負担が偏らないように役割分担を決めておくだけでも、当日の消耗は減らせます。
※当日の対応方法は状況や自治体、案件内容によって異なります。具体の可否・必要書類は、担当の公証役場・市役所・同席する専門家の案内に従ってください。
往復で時間がかかり、段取りの重要性を実感した
この日は施設へ取りに戻る判断をし、往復で時間がかかりました。結果としては手続きを進められましたが、当日の混乱を減らす工夫(持ち物の実物確認や、想定外への備え)はもっとできたと反省しています。
公証役場で重視されること:当日の本人確認・意思確認
公正証書は「後のトラブル予防」に関わる書面
公正証書は、後の争いを防ぐ観点からも重要な書面です。そのため公証役場では、書類が揃っているかだけでなく、当日に「本人が内容を理解しているか」「自分の意思で進めているか」の確認が重視されます。
(参考:日本公証人連合会「公証人とは」等)
「書類の完成度」と「当日の進行」は別で考える
どれだけ事前準備をしていても、当日は体調・移動・緊張などで段取りが崩れることがあります。持ち物や時間管理に加えて、本人の当日の状態(疲れ、理解のスピード、コミュニケーションの様子)にも目配りできると安心です。
※意思能力・判断能力の有無は個別事情で異なり、一般論で断定できません。不安がある場合は、公証役場や専門家に事前相談して、当日の確認手順を整えるのが安全です。
公証役場当日の混乱を減らすために押さえたい3つのポイント
以下は私の経験からの学びです。状況によって最適解は変わるため、可能な範囲で取り入れてください。
1. 持ち物は「口頭確認」+「実物確認」をセットにする
「持った?」と聞くだけだと、うっかりや認識違いで漏れが出ることもあります。可能であれば、同席する支援者(家族・親族など)が出発前に実物を一緒に確認できると安心です。
- 実印
- 印鑑証明書
- 本人確認書類(運転免許証等)
- 公証役場から案内された書類一式
※必要物は案件で異なります。必ず「担当の公証役場・専門家からの案内」を基準にしてください。
2. 「本人の状態」は当日まで変動し得る前提で段取りを組む
加齢や体調の変化があると、慣れた作業に時間がかかったり、直前の出来事を忘れやすくなったりすることがあります。意図を断定せず、記憶違いや理解のズレが起きやすい前提で、移動時間を長めに取る・説明を簡潔にするなどの配慮が役立つことがあります。
※心配が強い場合は、医療機関・地域包括支援センター等の相談先も検討しつつ、公証役場や専門家に「当日の確認の進め方」を事前に相談するのが安全です。
3. 家族だけで難しいときは、第三者を入れて「段取り」を整理する
家族だけだと感情が入りやすい場面でも、第三者が入ることで論点や手順が整理され、当日の混乱が減りやすいです。私の場合も、司法書士さんが同席してくれたことで、説明や進行が整い、落ち着いて進めやすくなりました。
※「必ずうまくいく」といった保証はできませんが、負担軽減につながる場合があります。依頼範囲・費用・対応可否は事前に確認してください。
(体験談)姪の立場でも背負うことがある:関わり方は「できる範囲」でいい

私は「子ども」ではなく姪の立場でしたが、家族の事情で手続きの段取りや移動などを担うことになりました。親族内の役割は家庭ごとに違い、必ずしも実子がすべてを背負うとは限りません。
同じように立場が複雑でも、できる範囲で関わり方を決め、無理な部分は第三者(公証役場・専門家・相談窓口)に頼ってよいと思います。
まとめ:当日の混乱を減らすには「事前すり合わせ」と「実物確認」
公証役場当日は、本人確認・意思確認を含めて確認事項が多く、想定外も起きやすいです。持ち物の実物確認、当日の体調・理解の様子への配慮、第三者の同席など、できる準備を積み上げるほど混乱は減りやすくなります。
必要なら「段取りの確認」だけ外部に頼る
当日の準備や本人の状態に不安がある場合は、公証役場への事前確認に加えて、司法書士など第三者に段取りの確認を依頼すると、負担が軽くなることがあります。
※相談費用、無料相談の有無、対応範囲(書類作成のみ/同席可否など)は窓口によって異なります。利用前に条件をご確認ください。
段取りを一度プロに見てもらいたい場合(例)
- 必要書類・持ち物のチェックリスト化
- 当日の流れ(本人確認・意思確認)の事前整理
- 同席の可否や、事前相談のポイント確認
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※紹介サービス等を利用する場合は、運営会社・対応地域・費用条件・利益相反の有無なども確認してください。

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