【制度解説】相続放棄してもお墓は別問題?祭祀承継の基礎知識

相続・戸籍

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相続放棄の通知が届いた後に、お墓の話だけが残った

叔父が亡くなったとき、親族から「相続放棄をしてほしい」と言われました。
その経緯は、こちらに書いています。

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お墓の話は、その後の出来事になります。

家庭裁判所から相続放棄の受理通知が届き、
やれやれ、やっと終わったか…と思っていました。

自家用車と新幹線を使っての週末日帰りの生活も終わり。
元の生活に戻るか…。

しかし、お墓の問題が残っていました。

叔父名義で公営墓地の1区画を使用しており、使用料は未納のまま。

相続の手続きは終わったのに、え? お墓の名義。
名義というのがある以上は相続と関連するのか???
相続放棄をしたのだから、お墓も関係ないよね…。

わかるようでわからないお墓問題。
お墓は相続ではないということは理解していたけれど、
持ち主(墓守)だった場合はどうなのかわからなかったので、
さっそく調べはじめました。

お墓は「相続財産」ではなく「祭祀財産」——相続放棄の対象外

調べてわかったこと。

「お墓の名義人であっても、使用権を持っていても、相続放棄の対象にはならない」

民法897条により、お墓(墳墓)や墓地の使用権は、預貯金や不動産などの通常の相続財産とは別に扱われます。これを「祭祀財産」といいます。

祭祀財産は、遺産分割の対象になりません。相続人で分けるものではなく、「祖先の祭祀を主宰すべき者(祭祀承継者)」が一人で承継します。

祭祀承継者は、次の順で決まります。

  1. 亡くなった方の指定があれば、その人
  2. 指定がなければ、慣習に従う
  3. 慣習も明らかでなければ、家庭裁判所が定める

祭祀承継者は、法定相続人でなくてもなれます。相続人ではない親族も、親族以外の人も承継し得るとされています。

なぜ「相続人でなくてもいい」のか——条文を読んでみました

気になったので、民法897条の条文そのものを読んでみました。

そこに書かれていたのは、「慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者が承継する」というだけで、「相続人であること」という条件は、どこにも書かれていません。

つまりこれは、裁判所があとから作ったルールではなく、条文が最初からそう書いているということでした。

実際、相続権のない兄弟姉妹やいとこにあたる親族が祭祀主宰者になることもある、と解説されています。墓地の管理者向けのFAQでは、友人など親族以外の人が指定されていた場合でも、承継は可能とされていました。

誰が承継するかは、身分関係や生活のつながり、お墓との場所的な関係、祭祀を続ける意思や能力などを総合して判断される、とされています(東京高裁 平成18年4月19日決定)。

率直な感想としては、
祭祀承継者って、ざっくりとした定義しかなかったんだ…。

相続放棄をした人も、祭祀承継者になり得ます。相続放棄(民法939条)の効果は相続財産に対するものであり、祭祀財産の承継には及びません。相続財産と祭祀財産が、そもそも別の枠組みで動いているためです。

つまり、「相続放棄をしたから、お墓の問題からも自動的に解放される」とは限りません。相続放棄と祭祀承継は、別の制度として分けて考える必要があります。

墓守を任される側からすれば、
年に一度の管理料、
法事のたびのお布施、
墓掃除…
他にも地域によってはあるかもしれません。
お金だけでなく、手間と気持ちが続きますね。

昔の方々は「○○は本家だから墓守をしなければならない」と言いました。
長男だから、長女だから…と、どこの家庭でも似たような問題、ありませんか?

相続のあらゆるごたごたから解放されたと思ったら、これですか…
となりそう。

相続放棄後、お墓の未納分は誰が払うのか

相続放棄の書類を提出したあとのことです。

相続の話し合いの中で、ある親族が「叔父の墓、使わないのならほしい」と言い出しました。

墓や仏壇って相続じゃないでしょ? と。

そのときの状況からすれば、叔父の負債は約1100万円。もしお墓を相続の対象として扱うことになったら、その親族だけ相続放棄しないことになってしまう。

役所なり弁護士に相談をしたほうがいいです。と回答しましたが、

ネットで検索したら大丈夫だったよ。と回答が…。

いやいや、そうじゃなくて…。

役所にどのように質問するか、方法と連絡先を教えて問い合わせをしたところ、
未納の利用料金を支払ってくれれば問題ないとのこと。

その未納の利用料金は相続放棄したから支払わなくていいでしょ? と。

…この親族とはあまり関わらないようにしよう。
そう思いましたね。

しつこく聞いてくるので「相続放棄が完了してから動いたほうがいいです。墓石は用意できたの?」と聞くと、全く準備していない。

ただ、その区画がほしい。だけでした。

公営墓地の利用料金は各地域で金額が違いますので一概には言えませんが、地方税とは違い、支払える金額のようでした。

その区画が結局どうなったかは、この記事の後半に書きます。

ここからは、私が調べて整理した一般的な話です。

公営墓地・霊園の区画は、土地の所有権を買うのではなく、使用する権利(永代使用権)を得る契約であることが一般的です。この権利は、第三者へ勝手に譲ったり売ったりできないのが通例とされています。

使用料・管理料の未納が長期間続くと、使用権そのものを失い、無縁墳墓として扱われることがあります。年1回の納付なら3〜5年程度の滞納が契約解除の理由になり得る、という見解が示されています。

そのうえで、断定できない点があります。

使用者が亡くなった後、生前に発生していた未納分を誰が負担するのか。これは墓地の規定(自治体の条例・霊園の使用規則)と個別の事情によって異なります。相続債務として扱われる場合、承継した人が負担する場合など、扱いが分かれ得ます。一般論として言い切れるものではありません。必ず、その墓地を管理している自治体・霊園にご確認ください。

そしてもうひとつ、これから相続放棄をする方には、先にお伝えしておきたいことがあります。

相続放棄をするかどうか迷っている段階で、故人の未納分を立て替えて払うと、「相続財産の処分」とみなされて法定単純承認(民法921条)が成立し、後から放棄できなくなる可能性があります。払う前に、必ず弁護士・司法書士にご確認ください。

叔父の税金の滞納については、こちらに書いています。放っておくと、ここまで膨らみます。

【体験】相続の税金滞納、”税金”と”延滞金”は別だった|時効と相続放棄の注意点
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祭祀承継者が決まらないと、お墓はどうなるのか

祭祀承継者が決まらないまま放置されると、管理料の未納が続き、使用権を失って無縁墳墓として扱われることがあります。

公営墓地では、使用承継(名義変更)の手続きが済んでいないと、新たに納骨ができない自治体もあります。手続きの要否・必要書類・手数料は、自治体ごとに異なります。

無縁墳墓として改葬する場合には、官報への掲載や立札による公告など、決められた手続きが必要とされています。

誰が承継するか決まらないと、残された親族の誰かが、事実上その負担を引き受けることになりがちです。話し合いがつかない場合は、家庭裁判所に祭祀承継者を定めてもらう手続きがあります(民法897条2項)。

私の場合は、こうなりました。

叔父の遺骨は、別のお墓に納骨されました。その後、そのお墓を管理していた親族が「墓はいらない」と言って、遠方へ引っ越しました。いま残っているのは、そのお墓を引き受けることになった別の親族です。

未納だった叔父の区画のほうは、また別の親族の名義になりました。

承継する人が決まらない、あるいは誰も決めたがらない。その状態が続くと、こういうことが起こり得ます。制度の話としてではなく、実際に起きたこととして、書いておきます。

やれ墓だ、位牌だ、世間体だということよりも、仏さんを供養する心さえあればいい。

私はそう思っています。

同じ状況の方へ——相続放棄をしても、確認しておきたいこと

相続放棄を考えている、または終えたばかりの方へ。お墓については、次の点を確認しておくと後で困りにくいと思います。

  • 故人の名義のお墓・墓地があるか
    権利証・使用許可証、管理料の払込票、自治体からの通知などを探してみてください。
  • その墓地に未納の使用料・管理料がないか
    墓地のある市区町村、または霊園の管理部署へ問い合わせます。
  • 祭祀承継者が決まっているか
    故人の指定があるか、慣習で決まる人がいるか、誰も決まっていないか。
  • 承継の手続きに期限や条件がないか
    自治体ごとに異なります。納骨できるかどうかにも関わるので、早めに確認しておくと後が楽です。
  • 相続放棄を検討中なら、未納分を自分で払わない
    法定単純承認になる恐れがあります。払う前に専門家へ相談してください。
  • 誰も引き継ぎたくない場合の選択肢を知っておく
    墓じまい・改葬・永代供養といった方法があります。

どこに相談すればいいのか

祭祀承継の話は、聞く相手が分かれています。

  • お墓のある市区町村の窓口/霊園の管理事務所
    名義変更の手続き、未納があるかどうか、必要な書類。まずはここです。無料で教えてもらえます。
  • 司法書士
    相続放棄の手続きや、書類の作成。
  • 弁護士
    親族の間で「誰が引き継ぐか」が決まらないとき。話し合いがつかない場合の、家庭裁判所への申し立て。
  • 家庭裁判所
    誰も決まらないときに、祭祀承継者を定めてもらう手続きがあります(民法897条2項)。ただ、いきなり行く前に、弁護士に一度相談したほうが早いと思います。


お墓のことは、自治体の窓口だけでは分かりにくい部分もあります。特に「誰に聞けばいいのか分からない」「弁護士や司法書士に相談したほうがいいのか、判断がつかない」という段階では、無料の相談窓口を使ってみるのも一つの方法です。電話やオンラインで、相続や名義変更の相談先を無料で紹介してもらえるサービスもあります。

このまま続けるか、別の形にするか。迷ったときは、一度専門の窓口に話を聞いてもらうのも一つの方法だと思います。

よくある質問

Q. お墓や墓地は相続財産ですか?

A. いいえ。お墓(墳墓)や墓地の使用権は「祭祀財産」として、預貯金などの通常の相続財産とは別に扱われます(民法897条)。遺産分割の対象にもなりません。

Q. 相続放棄をすれば、お墓を引き継がなくてよくなりますか?

A. そうとは限りません。相続放棄(民法939条)の効果は相続財産に及ぶもので、祭祀財産の承継には及びません。相続放棄をした人でも、祭祀承継者になり得ます。個別の判断は専門家にご確認ください。

Q. お墓は誰が引き継ぐことになりますか?

A. 亡くなった方の指定があればその人、指定がなければ慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき人、慣習も明らかでなければ家庭裁判所が定めます(民法897条)。法定相続人でない人が承継することもあります。

Q. 亡くなった人の墓地に未納の使用料がありました。誰が払うのですか?

A. 墓地の規定(自治体の条例や霊園の使用規則)と個別の事情によって扱いが異なります。一般論として断定できないため、その墓地を管理している自治体・霊園の窓口にご確認ください。なお、相続放棄を検討中の方が故人の未納分を払うと、法定単純承認(民法921条)とみなされて放棄できなくなる可能性があるため、払う前に専門家へのご相談をおすすめします。

Q. 誰も引き継がないまま放置すると、お墓はどうなりますか?

A. 管理料の未納が続くと使用権を失い、無縁墳墓として扱われることがあります。公営墓地では、承継手続きが済んでいないと新たに納骨できない場合もあります。

Q. お墓を引き継ぎたくない場合、どうすればいいですか?

A. 墓じまい(お墓を撤去し遺骨を別の場所へ移すこと)、改葬(お墓の引っ越し)、永代供養といった選択肢があります。手続きは自治体・墓地の管理者によって異なるため、まずは現在の墓地の管理窓口にご相談ください。

参考にした一次ソース

この記事は私(アオゾラパズル)の体験にもとづく一般的な内容です。私は専門家ではありません。お墓(祭祀財産)の承継、相続放棄との関係、公営墓地の手続きや未納分の扱いは、自治体の条例・霊園の規定・個別の事情によって大きく変わります。特に未納の使用料や管理料を誰が負担するかは、一般論として断定できません。ご自身のケースについては、必ずお墓のある自治体の窓口や、弁護士・司法書士などの専門家にご確認ください。なお、相続放棄を検討している方は、故人の未納分を払う前に専門家にご相談ください。

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