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30秒まとめ
- 「相続放棄して」と迫られても、すぐに決めなくて大丈夫。期限は3ヶ月(熟慮期間)、間に合わなければ「期間の伸長」という方法もあります。
- 一度した相続放棄は、原則あとから取り消せません。だからこそ、焦らないこと。
- プラスの財産もマイナスの財産も、両方を調べてから判断を。
- 未納の税金・延滞金は、早めに役所へ相談を(放置すると延滞金で支払いが大きくふくらみます。私の叔父は未納と同じ額の延滞金がついていました)。
- 一人で抱え込まず、弁護士・司法書士という「味方」を持ってほしいと思います。
「あなたも相続放棄して」と、突然迫られました。
「相続放棄して」って…どういうこと…?え?何?どういうこと???…と内容もわからないまま親族の意見を押し通された…ざわつくような経験をしたことはありませんか?
独り身だった叔父が亡くなり、突然親族に迫られた一人です。
はじめにお伝えしておくと
叔父の法定相続人は私の母です。
私は姪なので相続人ではありません。
ただ母は高齢で動けなかったので
代わりに私が調べることになりました。
私は、なぜ相続放棄をしなければならないの?という疑問を持ち、すぐには返答せずにいろいろ調べてみたのですが…。
建物の解体費用と、約15年分の未納の税金と延滞金があり、15年半ほどのNHKの受信料とそれにかかる延滞料金と…支払総額が1100万円!
私自身で調べたからこそわかったこと。親族は延滞内訳明細を見て硬直…。親族は薄々叔父には財産は全くないとわかっていたのでしょうか…。
あるいは
独り身だった叔父には関わりたくなかった——それだけだったのかもしれません。
「私以外の親族全員が相続放棄をしたいと言っています」と弁護士さんに相談してみると、まさかの回答が。
…そうなんだ。まだ公になっていない計画などいち早く情報は入りそうですものね。
…それならば内容を整理して親族に伝えなきゃ。といろいろと説得しましたが、結果は相続放棄をする結論になりました。
この記事では、私が相続放棄の「3ヶ月」という期限のなかであった出来事や財産の調べ方、最終的に相続放棄の手続きをした経験を書きたいと思います。
① 相続放棄しろと迫られ…。
親族からの連絡で
叔父が亡くなりました、と。
コロナ禍で数年
会えずにいたので
独り身の叔父はどうしているのか気にはなっていましたが
突然のことでした。
資金もなく、葬儀代をみんなで出し合って最低限のものにしようと動き出したのですが——
※葬儀の形式と費用の実際については、こちらにまとめています。

近所に住んでいた親族の一人が、こう言ってきたのです。
???
「あの建物、解体にいくらかかると思ってるんだ」
「通帳のチェックなんてしなくてもいい、土地の名義だって誰のものかわからないんだ!」
と感情的になる親族。
叔父とその親族に何があったのかはわかりませんが、温厚な方だったので正直驚きました。
誰も建物を管理するわけでもなく
そのまま放置すれば
今後の法改正や近隣へのご迷惑にもつながります。
私たちの代で理解していても
いずれ子どもたちが大変な思いをするのは
気の毒じゃ…。
将来の子たちに迷惑をかけるのが一番よくない。私はそう感じていたので、その親族には「私たちの代でちゃんと片づけましょう(相続放棄をする・しないにしても)」と話すと、反論もしませんでした。
その親族は、相続に関わる手続きは未経験とのこと。
それに対して私は数か月前にもう一人の叔父や祖母の相続を扱っていたので、流れだけは理解しています。
「不明な点は司法書士か弁護士に確認していこう。」
これまで通り協力できると思っていました。
しかしな…。この親族はなぜ相続放棄をしたがるんだろう? 隠しごと? 何かを知っているから? 相続放棄の期限は3ヶ月だし、あっという間だ。これは早めに動いておかないと。
一つ一つ手順を踏んで進めていきました。
② 叔父の資産状況を調べたら…
叔父の自宅へ行き
相続放棄をする・しない
どちらになってもいいように
登記簿や貴重品などをリストアップしました。
自宅から持ち出すことはせず、書類はスマホで撮影して、他の親族にも確認できるようにしました。
登記簿を見つけ見てみると叔父の名義になっており、これは問題なし。
通帳はあるけど残高はなし。生活に困っていたのかな…。
あ、叔父さんのメガネだ。
叔父の部屋に入り、一人で亡くなったことが本当に気の毒で…ポロポロと涙が。
私は目を真っ赤にしながら「〇〇~ここあけるからね~」と叔父の名前を呼びながら作業をしていました。
何もしてあげられなかった。ただただ悔しさがこみ上げてきました。
書類がたまっている棚を見つけて調べてみると、3つの封書が目につきました。
建物の差し押さえ通知書。

この書類を見た瞬間、もしやと思い、他の書類を探すと——
- 国保と固定資産税の未納+延滞金の明細
- NHKの未払い
- その他もろもろ…総額500万。
国保と固定資産税の未納+延滞金については、未納分が200万。
延滞金も同じく200万で、合わせて400万。うわぁ…。
▼この「未納の税金」と「延滞金」は、実は法律上まったく別の扱いだと後から知りました。時効のことも含めて、【体験】相続の税金滞納、”税金”と”延滞金”は別だった|時効と相続放棄の注意点に詳しく書いています。
しかし…未納が約15年分。…15年、15年か。。。
建物の敷地面積も広く、安く見積もっても解体費用600万とのこと。
総額約1100万。
あらためて並べると、こういう内訳です。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 建物の解体費用(安く見積もって) | 約600万円 |
| 叔父の自宅の書類から出てきた支払い分 (地方税などの未納 約200万円+延滞金 約200万円+NHK受信料 約22万円+その他の諸費用) | 約500万円 |
| 合計 | 約1100万円 |
国保と固定資産税の未納+延滞金を支払わなければ建物の差し押さえ解除ができない…。
…建物は老朽化しているので土地だけを販売するにしても解体費用600万も痛いな。
1100万…かぁ…。
さて…。これらの書類内容について具体的に聞いていかないといけないな。。。
それぞれの連絡先に電話をしたり伺って聞くことにしました。
③ 確認する箇所へすべて聞いてみた
地方税の未納+延滞金で400万と、NHK未納約22万。
司法書士や弁護士に相談する前に、自分で確認できることは確認しておこうと思い、週末ごとに叔父の地元へ通いました(自費で)。
親族は「(金にならないんだろうから)相続放棄したほうがいい」と発言するのみ。
はたして本当にそうなのか?
調べて納得できるものは受け入れよう——その時は、そう考えていました。
1. 地方税の未納について役所へ。
亡くなった祖母の時と同様に話をする手順は決めていきました。
- 私は何者か?
(叔父の姪っ子です。母はいるけど高齢で連れてこられませんでした。
身分証明としてマイナンバーカードを提示したら、確認事項が減ってスムーズでした) - 今日来た理由
(先日亡くなって、整理をしていたら「差し押さえの書類と未納の書類」が出てきたんです) - 延滞金の支払い方
(支払うかどうかはわからないけど、確認をしに来たというアピール。
「誰が相続するのかまだ決まっていないのですが
支払う方法というのはどのようなものですか???」) - 来所に期限があること
(私は県外から来ているので
今日、今知りたいアピール) - 必要書類を持ってきた
(この時点で戸籍謄本が取れればいいのですが
死亡届のコピーを持っていきました) - その他証明になるもの
(法定相続情報一覧図などがあればいいのですが
叔父の場合は相続放棄の可能性があったので
作成していませんでした)
曖昧にしてしまうと、何度も通うことになる。
窓口の方の対応経験が乏しいと、確認に手間も時間もかかってしまう。
一つ一つの作業は大変でしたね。
役所関連の問い合わせの際は職員も慎重でした。法定相続人じゃない私が聞いてきているのをはじめは警戒していましたが、真摯に対応をして理解を得ました。
延滞金のことですので、担当の方は「別室でお話ししましょう」と、私を案内してくれました。
「延滞している内訳を出してきますので、お待ちくださいね」と待たされること約10分。
この待ち時間…長かった!!!
…担当の方が戻ってきたら「延滞しているから払って!」と怒られる?とドキドキしていましたもの。
担当の方がやっと現れて
申し訳なさそうに「あの…枚数がこれだけありまして…」
約15年分の未納明細書(8ページ)を出してきました。
…そうですよね、まさかこんなにためているとは思っていなかったですよね…。
私もびっくりしましたもん。

事情を話したうえで、いろいろな対処方法を教えてくれました。役所からすれば支払ってほしいというのが本音です。
担当者の方が言いづらそうに話した一言が、忘れられなくて…。

約15年分の延滞明細。
明細をひとつずつ確認しました。
市民税・県民税・固定資産税・国民健康保険税・介護保険料…ほぼ全部。
「なぜ役所に相談しなかったんだろう?」
「 民生委員さんは来ていたのかな…」
「他の親族は知ってたんだろうか…」
いろいろな思いが出てきたけど「叔父が人に頼るのが苦手だったということ」が大きくしてしまったのかもしれません。
未納金も延滞金も全額を支払わなければ、差し押さえは解除になりません。とのこと。
預金や建物を売ろうにも、差し押さえ通知書が解除されなければ、資産は動かせないのです。
未納分だけを払っても、延滞金が残っているかぎり差し押さえは解除されない——そう説明を受けました。
担当者の方は、他に対処法がないか一生懸命探してくれていました。
相続人の人数で分けて支払う方法。
自宅を売って支払いにあてる方法。
いくつも案を出してくれたのですが
どれも最後は
「でも、差し押さえが入っているんですよね…」
というところで止まってしまう。
そこで他の部署にも相談をしてみてください。と案内された年金課の方も、資産税課の方も、同じように方法を探してくれました。
やはり「差し押さえ通知書の解除」がネックになってしまう。
役所の中をいくつも回り、私が伺う前に話が通っていてすでに探してくれていたところも。
ある部署の担当者が、周りに聞こえないほどの小声で
「あの…コロナ前に(叔父のところへ)伺っていて、いろいろ提案していたんです…」と。
今、私自身がここの役所のたくさんの方々に助けてもらっている。
叔父もそうだったんだと思います。
叔父の当時の姿を知る方にお会いできるとは思わなかったので
「(その時は本当に)いろいろとありがとうございました」と
気づかれないくらいの声でお礼を言いました。
役所には3時間いました。すべて確認できるところは確認をしての結果。
その時点では相続放棄をするかは決まっていなかったのでその旨連絡が入ると思いますのでよろしくお願いします。と伝えて役所を出ました。
2. NHKのお客様センターへ電話をする
振込用紙の裏面に書かれていたフリーダイヤルに電話をしました。

祖母の時は年払い契約だったので、必要書類を提出して完了しました。
叔父の場合は「未払い分をお支払いください」と言われたのですが、「相続人が決まり次第連絡が入ると思いますので」と丁重に回答をしました。
ちなみに叔父の相続に私は該当しません。
事前に確認していたのですが、受信料には「5年で時効」とされる最高裁の判例があり「時効を主張(援用)して、はじめて5年分だけになる」というもの。
黙っていれば自動で消えるわけではない。ということになります。
※これは私の母が法定相続人で
相続放棄をするかしないか決めていない時点の話です。
NHK受信料の支払い義務は
契約や相続の状況によって変わります。
「誰でも支払わなくてよい」という意味ではありません。
判断はNHKの窓口や専門家にご確認ください。
3. 登記が本当に叔父なのか確認するため法務局へ
「土地の名義だって誰のものかわからないんだ!」と怒鳴ってきた親族の一言。
気になっていたので法務局へ。
古い登記だと変更されていないのはよくある話で、祖母の時もかなり調べた経緯があったので、念のため確認しに行きました。
…うん。大丈夫だ。叔父のものだね。
ここまで調べなくても後にわかることなのですが
あまりにも理不尽な言い方でしたので
「ほら、叔父の名義じゃない。どこからそんな話が出たの?」
…なんて聞き返すことはしませんでした。
それならば、わかるところまで確認してやるぞ!という気持ちのほうが強かったですね。
④ なぜ親族は相続放棄を迫ってきたのか
当時の私は、相続放棄という制度の「仕組み」を詳しく理解していませんでした。
相続放棄をすると
その人は法律上「はじめから相続人ではなかった」ことになります(民法939条)。
相続する権利は次の順位の人へ移ります。
借金や解体費用といった負担も
相続をする人へまわっていきます。
親族が私に迫ってきた本当の理由を聞いたわけではありませんが
叔父が困窮していたこと
延滞金があったこと
を知っていた可能性はあるのだろうと思います。
年金についても確認をしたところ、支払の最低年数はクリアしていたのに、一銭も受け取っていませんでした。
なぜ届け出をしなかったのか。そのことも、親族は何も話していません。
この時点で、私の知らない何かがたくさんあるのだと気づきました。
祖父母や他の相続で私が動いてきたのを知っていたからこそ
もう(過去を)触れなさんな——そんな雰囲気のようにも今思うと醸し出していましたね。
私からすれば、誰かを責めたいわけではなく『なぜ相続放棄を進めてきたのか』その理由を知りたかったので。ただ、それだけ。
墓場まで持っていきたいことがあったのか、他の親族に触れられたくなかったのか。いまだにわかりません。
判明した内容すべてを親族に淡々と伝え、その頃からだんだんと風当たりが強くなり…。
気づけば私だけが孤立している状態になってきました。
⑤ 相続放棄の期限は3ヶ月。逆算をして期日を決め、ぎりぎりまで模索した。
「相続放棄には3ヶ月の期限がある」
あっという間です。3ヶ月なんて。
正確には
「自己のために相続の開始があったことを知ったときから3ヶ月以内」が期限です(民法915条。「熟慮期間」と呼ばれます)。
叔父の場合は孤独死だったので、発見されたのは死亡推定日の3日後でした。
…えっと、どちらだ???
もしも相続放棄をすることになれば、この3日のズレで期日を間違えると、大変なことになります。
私のケースでは「亡くなったことを知らされた日から3ヶ月」ということで確認が取れました。
※この起算日は、あくまで私のケースです。
「いつ知ったか」は状況によって変わります。
たとえば先順位の相続人が放棄したことを後から知った場合など
数え始める日が違ってきます。
ご自身の期限は
家庭裁判所や弁護士・司法書士に必ず確認してください。
曜日を見ると、最終日は土日。
郵送したとしても
訂正などで返却されることもあるので
確実を期すなら
遅くても2週間前には完成させて…
持参するにしても、金曜日の午前中には届けないと…。
祖母の時の頭がグルグル状態再来。
脳のリソースが足りなくなると大変だ…。
あたふたしそうになりましたが、間に合わないときは事前に家庭裁判所へ申し立てることで、この期間を延ばしてもらえる場合があります。
被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に、一度問い合わせてみるといいかもしれません(期間の伸長)。
そして、もう一つ大事なこと。
相続放棄は、一度してしまうと、原則あとから取り消せません。
だからこそ、まわりに「早くしろ」と急かされても、焦って決めてしまわないことが大切なんです。
私は「3ヶ月」という最悪の想定も考えつつ
調べられるものは調べよう、と決めました。
⑥ 相続放棄の前に調べること
叔父の訃報を聞いたころ。ちょうど祖母の相続が終わったばかりでした。
そのとき担当してくださった司法書士さんに叔父の件でも相談をしました。
内容的には司法書士よりも弁護士案件が多くなりそうなので
弁護士に相談してみては?とアドバイスをいただき
叔父のふるさとの弁護士さんのもとへ
毎週新幹線で通いました。
対応方法などを聞きながら、お茶菓子を手に、一つひとつ内容を確認していったのです。
財産調査とは、相続放棄をするかどうかを安全に判断するために行うものです。
| 財産の種類 | 調べ方(どこで確認) |
|---|---|
| 預貯金 | 通帳や残高証明書で確認する |
| 不動産 | 市区町村で「名寄帳(なよせちょう)」を取り、固定資産評価証明や登記事項証明で価値を確かめる |
| 借金・負債 | 信用情報機関(CIC・JICC・全国銀行協会KSC)に開示を請求すると、借入れの有無が分かる |
※信用情報機関への開示請求は
誰でもできるわけではありません。
亡くなった方の情報を請求する場合は
法定相続人であることを示す戸籍などの書類が必要になります。
必要書類は機関ごとに違うので
請求前に各機関のページで確認してください。
そして叔父の場合は
地方税の未納金とNHKについて
実際に役所へ出向いたり電話をしたりして確認し
こういう返答がありました、と報告をしました。
そこから最終的にプラスの財産とマイナスの財産を両方そろえてから判断する、という流れになります。
そして弁護士はこう言ったのです。
…えええ???
8割、9割は「相続放棄だね」と言われることを覚悟していたので、びっくり!
地方税の納税についても、NHKの支払いについても、対処の方法をすべて聞きました。
弁護士さんの得意分野によって変わるかもしれませんが、支払いを何とかする策は、ちゃんとあったのです。
ただ、相続人全員の足並みがそろわないと難しいね、と。
相続放棄をさせないように話し合ってくださいと言われました。
これまでの行動がもしかしたら親族のためになるかもしれない。そう思いました。
⑦ しかし私の知らないところで相続放棄をすすめていた…。
負債よりも資産の方が多い。
弁護士の見立てどおり、本来なら手放すのが惜しい財産だったのです。
しかし現実はそのとおりには進みませんでした。
日にちを決めて集まりこれまでの事を説明。
しかし声は届きませんでした。
叔父の葬儀はしない、位牌もいらない、こんな資料はいらないから。
いいから相続放棄をして。
…私以外すべての親族が相続放棄をする、と。
私が動いている最中に、怒鳴りつけた親族は全員を説得していたようで、一番の味方である母と弟からも「相続放棄するのが正しい」と。
…白なのに黒とされた。
冷静に見れば、行動を起こさない人が多数のとき、それが正しいと思えてしまうのでしょうか。
叔父は最終的に相続放棄され、引き取り手のないかたち(無縁仏)になってしまいました。
相続と納骨は別に考えるべきことなのに、そこまで放棄するように話が進んでいたのです。
何もしてあげられなかった。
その申し訳なさは、今も胸に残っています。
正直に言えば、「私だけは相続放棄しない」という選択もあるのではないか、と考えた時期もありました。
たくさんの人から助けてもらい、教えてもらったのに…。
何も調べずに話をつけて、周りを巻き込んでしまった人の意見が『正しい』とされる。
そんな現実を突きつけられたら、へこみましたね。ショックでした。
最終的に
私は押し負けるかたちで(母の代わりに)家庭裁判所へ相続放棄の書類を提出しました。
そのあとは、裁判所が淡々と手続きを進めていきました。
相続放棄の手続きが完了した半年後。
叔父の自宅は差し押さえ解除になり、解体。あれよあれよという間に分譲地として整えられ、売れていったのです。叔父の三回忌前にすべて片付いたんです。
豪雪地帯なので朽ちた建物が近所のご迷惑になることだけは避けられた。
それだけでも、よかったのかもしれないな、と。
弁護士さんの言ったとおりでした。
放棄を強くすすめていた親族は、それからは決まりが悪くなったのか、私への連絡を避けるようになりました。
私の中には
誰かを責める気持ちよりも
「知っていれば、違う結末があったかもしれない」
という思いの方が
ずっと強く残っています。
その後の流れについては
差し押さえを解除したのは市(地方公共団体)。
未納の税金や解体にかかる費用を含めたうえで
土地が売られていった——と聞いています。
行政が差し押さえた財産を売る手続きは「公売」と呼ばれるもの。
このあたりは私が直接確認したわけではないので
聞いた話として書いておきます。
⑧ もし今、相続放棄を迫られているあなたへ
最後に、過去の私のように相続について選択を求められている人へ。
相続放棄の「3ヶ月」という期限を意識しつつ、進めていくことが大事です。
基本的なことは専門の弁護士や司法書士に確認をして、状況をまとめてみるのもありかと思います。間に合わなければ、「期間の伸長」という方法もありますし。
プラスの財産もマイナスの財産も、両方確認すること。
数字を「知る」だけで、見えてくる景色は変わります。
私の場合は、調べ尽くしても最終的に押し負けてしまいましたが
「専門家という強い味方」を持ってほしい。
その味方が、私にもちゃんといました。
⑨ その後の弁護士とのやりとり
相続放棄をした後
毎週通った弁護士事務所へ行く最終日になり
相談料を支払うために現金を引き出して伺いました。
いただいた領収書を見ると一桁足りない。
「先生?今日は最終日ですよ?」私は週に一度支払う1時間の相談料金だと思ったのです。
先生は
そして、「毎週のお菓子、みんなでおいしくいただいたよ。ありがとう」と。
善いものも、悪いものも見てきた職業の方だからこそ言える言葉。
私のやってきたことは、親族から全部否定されていました。だから本当にうれしくて、何度も頭を下げました。
今、書いていても目頭が熱くなります。
このブログを読んでくださっているあなたにも、あなたに合うかたちの「味方」が必ずいると思っています。この投稿が、何か一つでもお役に立ちますように。
よくある質問(FAQ)
Q1. 親族に相続放棄を迫られています。断ってもいいのでしょうか?
A. はい、断ってかまいません。
相続放棄をするかどうかは
相続人一人ひとりが自分で決められること。
誰かに強制されるものではありません。
「3ヶ月」という期限を意識しつつ
まずは財産を調べて
ご自身が納得できる答えを出してみてください。
一人で抱え込まず
弁護士さんや司法書士さんに間に入ってもらうのも
心強い方法です。
Q2. 相続放棄をしても、形見分けは受け取れますか?
A. 受け取ること自体はできます。
ただし品物によっては「遺産を自分のものにした」とみなされ
相続放棄そのものができなくなる(借金も含めてすべてを相続することになる)リスクがあります。
見極めが必要です。
判断のものさしは、「売ってお金になる価値があるかどうか」。
| 品物の種類 | 受け取り | 具体例 |
|---|---|---|
| 思い出の品(お金の価値なし) | ◯ できる | 写真・手紙・日記・手帳 |
| 一般の日用品(価値はほぼなし) | ◯ できる | 使い古した衣類・安価な小物 |
| 高価な品・財産(価値あり) | ✕ 避けたい | 現金・貴金属・高級時計・ブランド品・自動車 |
民法の「法定単純承認」というルールにより
高価な形見を受け取ると「相続をすべて引き受けた」とみなされ
あとから放棄したくてもできなくなることがあります。
・迷うような品なら受け取らない
・ほかの相続人に一声かけておく
・微妙なときは専門家に相談する
この3つを心づもりにしておくと安心です。
Q3. 「3ヶ月」の期限を過ぎてしまったら、もう相続放棄はできませんか?
A. 原則として
期限(民法915条の熟慮期間)を過ぎると相続を承認したものとみなされ
放棄が難しくなります。
ただし借金の存在を知らなかったなど
相当な事情がある場合に
例外的に認められることもあります。
間に合わないと感じたら
早めに家庭裁判所への「期間の伸長」の申し立てや
専門家への相談を検討してみてください。
Q4. 一度した相続放棄は、あとから取り消せますか?
A. 原則として、取り消すことはできません。
だからこそ迫られても焦らず
財産をしっかり調べたうえで判断することが大切です。
「とりあえず放棄」は避けたいところです。
Q5. 相続放棄をすれば、解体費用や借金は払わなくてよくなりますか?
A. 相続放棄をすると
その人は「はじめから相続人ではなかった」ことになります。
解体費用や借金などの負担も引き継ぎません。
ただし、その負担は次の順位の相続人へ移っていきます。
最終的に相続人全員が放棄すると
家庭裁判所が選んだ相続財産清算人が手続きを進めることになります。
なお放棄後の管理責任など細かい部分は状況によって変わるため
最終的なご判断は専門家にご確認ください。
この記事で参考にした公的な情報源(一次ソース)
「相談する前に、自分でも確かめておきたい」という方へ。
本文で触れた制度や手続きは
次の公的なページでご確認いただけます。
私自身も、こうして一つずつ確認しながら動きました。
- 相続放棄の手続き・「3ヶ月」の期限:裁判所「相続の放棄の申述」
- 期限に間に合わないとき(期間の伸長):裁判所「相続の承認又は放棄の期間の伸長」
- 民法の条文(915条=熟慮期間/921条=法定単純承認/939条=放棄の効力 など):e-Gov法令検索「民法」
- 相続登記の義務化(令和6年4月〜):法務省「相続登記の申請義務化について」
- 借金(負債)の調べ方(本人開示):CIC/JICC/全国銀行協会(KSC)
※リンク先はいずれも公的機関のページです(2026年8月時点で表示を確認)。制度は改正されることがあるので、最新の内容は各ページでご確認ください。
※この記事は私(アオゾラパズル)の体験にもとづく一般的な内容です。
私は専門家ではありません。
制度や手続きは
時期や状況によって変わることがあります。
最終的なご判断は
弁護士・司法書士・家庭裁判所など専門の窓口にご確認ください。




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