30秒まとめ
- 成年後見は「全部できなくなってから」だけじゃありません。後見・保佐・補助の3種類があり、軽いうちから使える”補助・保佐”という入口があります。
- いちばん軽い「補助」は、家族などが申し立てるとき本人の同意が必要。本人と一緒に進められる段階です。
- 家族信託の受託者には「取消権」がありません。本人名義の口座のお金の問題には、後見制度のほうが届くことがあります。
- どの種類が合うかは一人で決めなくて大丈夫。地域包括支援センター・司法書士・弁護士が入口になります。
後見人制度。この言葉を聞いて「認知機能が落ちてきた人」「知的障害など生活サポートが必要な人」「身寄りがない人」が使うんだよね?と思っていませんか?
伯母は認知機能が落ちているわけじゃないけど、後見人制度はまだ大丈夫。うん、それなら今後の生活のサポートのために、家族信託口座を作って施設料金や医療費を支払う管理をしよう。…そう考えていました。
これも、あまり知られていないと思いますが、年金の振込先と家族信託口座は一緒にできないルールです。ですので、伯母には年金口座を管理してもらっています。私は伯母の生活サポートとして、この形が理想だと考えていました。しかし、想定外の問題が出てきてしまいました…。
📌 補足(事実):公的年金は受給者本人の名義の口座にしか振り込めません。家族信託で使う口座は受託者(管理する家族)の名義になるため、年金の受取口座にはできません。いったん本人名義の口座で受け取った年金を、信託のお金として管理することはできます。(出典:日本年金機構ほか)
① 伯母のことで「後見ってまだ早い?」と思ったけれど…
家族信託口座を作り、伯母には年金口座を管理して、伯母自身のために使ってほしい。そんな考えで進め、公正証書を完成させたのですが、なにやら問題が出てきまして…。
伯母の年金口座から、たびたびお金が出ていくことが続いていたんです。
何十年も前からお金の工面を頼まれては渡してきた経緯があり、家族のあいだでもその事実を知っていました。伯父に先立たれ、子供もいない。今後の施設費用や入院などの医療費、終活に関わる葬儀代や納骨、永代供養代といった費用は分けておかないと大変なことになる。このままでは伯母の老後に絶対に支障が出ると考えていました。
当時伯母は保険と通帳を複数所持しており、自宅整理と施設入所をきっかけに、保険の見直しや口座をシンプルにまとめること進めて、家族信託口座を作成。(そのために必要だったのが公正証書でした)信託口口座を私が管理をすることにしました。伯母自身も、やれ保険の金額だの預金だの…と考えるのが嫌になっていたのでスムーズに進みました。
私が家族信託口座を作って管理する代わりに、もうこれ以上は伯母の用途以外は出さないでほしい、と伝えていたのですが…。「わかった」と言いながら、そのまま続けていたわけで…。ショックでした。

他の親族は見て見ぬふりなのですが、私は以前から亡くなった父と祖母に「(伯母)姉ぇの面倒を見なきゃ」といろいろ話を聞かされていたので、2人の代わりにこなしているようなものなのですが、もし2人が元気だった時にこのことを知ったら揉めただろうな…。
どう考えても伯母の年金口座は伯母の余生のために自由に使ってほしい。そう考えているので、このことについては現在進行中ですが地域包括支援センターに相談をしてます。
まず全体像:判断能力が心配になったとき、選べる手段は4つあります
- 任意後見…元気なうちに「誰に何を任せるか」を公正証書で決めておく
- 法定後見(後見・保佐・補助)…判断能力が落ちてから家庭裁判所が関わる ← この記事
- 日常生活自立支援事業…軽い段階から社会福祉協議会が小銭管理を手伝ってくれる公的サービス
- 家族信託…元気なうちに財産管理を家族に任せる民間の契約(費用の話はこちら / 信託口座の話はこちら)
※ 家族信託は財産管理のみ。入院・施設契約などの代理は別途、後見制度が必要になることがあります。
② 成年後見は1つじゃない——「後見・保佐・補助」の3種類
「成年後見制度」とは
「判断する力が十分でない人を、法律で支える制度」です。認知症や精神障害の診断がある方だけでなく、加齢の影響で判断が難しくなってきた方も対象に含まれます。どの段階にあたるかは医師の診断をもとに家庭裁判所が判断します。
すでに判断力が低下してから使うことになる「法定後見」については、本人の状態に応じて3つの種類(類型)があります。
- 後見…判断する力が「欠けているのが通常の状態」の人(いちばん重い段階)
- 保佐…判断する力が「著しく不十分」な人(中くらい)
- 補助…判断する力が「不十分」な人(いちばん軽い段階)
つまり「全部できなくなってから」だけでなく、軽い段階=補助/中くらい=保佐という入口があるのです。
成年後見が3種類あることも知らずに、家族信託だけを作ったものの、それだけでは十分じゃなかった。混乱したことが、もう一つ。「介護認定」の判定でサービスが使えるんじゃないか? しかし、施設での有料サービスでは小口現金5万円までの管理のみ。え? 通帳は私が管理しなきゃならないの? でもそれは家族信託じゃないし…。
かなり混乱しましたね。
伯母に問題がなければ、伯母が年金通帳を管理する。家族信託口座の現金の補充は、その年金通帳から。この出費が長引いたり、伯母の認知能力が落ちたりしたら、どうしたらいいんだろう…。姪の私が、どこまで関わるべきなのか、どこまで任せるべきなのか。整理をしなければ、と思いました。
③ 3種類で「できること」がどう違う?(早見表)
| 補助(軽い) | 保佐(中くらい) | 後見(重い) | |
|---|---|---|---|
| 本人の状態 | 判断する力が不十分 | 著しく不十分 | 欠けているのが通常 |
| 支える人 | 補助人 | 保佐人 | 成年後見人 |
| 取消し・同意の範囲 | 申し立てた特定の事柄だけ | 法律で決まった範囲+追加分 | 財産に関する広い範囲 |
| 代理権 | 申し立てた特定の事柄に付けられる | 申し立てた特定の事柄に付けられる | 財産に関する広い代理権 |
ざっくり言うと、軽いほど「本人の自由を多く残す」/重いほど「支える人がカバーする範囲が広い」。補助・保佐は、本人が苦手なところだけピンポイントで支える形に近い、と考えると分かりやすいです。
そしてもう一つ、私が後で知って「これだ」と思ったこと。後見・保佐・補助には、本人がしてしまった不適切な契約などを取り消せる「取消権」という仕組みがあります(取り消せる範囲は種類や申し立てによって変わります)。一方、家族信託の受託者(財産を管理する側の人。この記事でいえば私)には、この取消権はありません。だから「本人名義の年金口座から、知らないうちにお金が動いてしまう」ような問題には、家族信託だけでは届かず、後見制度のほうが力になることがあるのです。
家族信託口座を作る際、司法書士さんとお話をしていたのですが、その時は「後見人制度はまだ大丈夫ですね」と言われていました。だからこそ、状況が変わったときに”次の入口”を知っておくことが大事なんだと、今は感じています。
④ 大事なポイント:「補助」は”本人の同意”がいる
いちばん軽い「補助」を始めるとき、本人以外(家族など)が申し立てる場合は、本人の同意が必要です。軽い段階は、本人の意思がまだしっかりしているので、勝手に決めず、本人の気持ちを尊重する仕組みになっているのです。保佐・補助で、支える人に「代理権(本人の代わりに手続きする権限)」を付けるときも、本人の同意が必要です。
つまり「軽いうちの補助・保佐」は、本人が納得して、一緒に進めるのが前提になります。
伯母は「後見人は嫌だ!」と声を荒げて怒り出す始末…。…送金できなくなるからじゃないか? と思ってしまったけど、なだめる。あまりにも突き詰めると本人にも私にもよくないので、いったん話は終わらせましたが、資料を作って、わかりやすくしていかないとな。とも感じました。
⑤ じゃあ、どこに相談すればいいの?(申し立ての入口)
法定後見(後見・保佐・補助)は、本人の住所地を管轄する家庭裁判所に申し立てて始めます。申し立てができるのは、本人・配偶者・四親等内の親族などです。伯母から見て甥・姪は「3親等」で四親等内に入るので、甥・姪も申し立てができます。
どの種類にあたるかは、最終的に医師の診断などをもとに家庭裁判所が判断します(自分で「うちは補助」と確定はできません)。迷う段階では、地域包括支援センター/市区町村の窓口/司法書士・弁護士が入口になります。
地域包括支援センターには、相談しました。実際、家族信託口座の管理のほかにも、いろいろな業務を私が抱えていたので、センターの方からは「あなたがすべて背負っていることに問題がある」と言われてしまいました。ここで改めて、私が後見の仕組みを理解できていないことに気づいたんです。
どの種類が合うか・誰が申し立てるかは、個別の事情で変わります。私は成年後見にくわしい専門家(司法書士・弁護士)に整理してもらって、ようやく動けました。
※私はこうして助かりました。もちろん、合う・合わないは人それぞれだと思います。
⑥ 迷っているあなたへ——「まだ早い」は、入口を逃すサインかも
成年後見は「全部できなくなってから」だけじゃありません。軽い段階の”補助”、中くらいの”保佐”という入口があります。補助は本人の同意がいる=本人と一緒に進められる段階です。そして、どれが合うかは、一人で決めなくていいのです。
私は地域包括支援センターに、これまで伯母のお世話をしてきた記録などをまとめた資料を渡し、自分が理解していること・できることをはっきりさせたうえで、面談を受けました。「全部を抱え込まない」ための一歩でした。
「まだ早いかな」と迷っているなら、それは入口を探すサインかもしれません。一人で抱え込まず、あなたに合う相談の窓口を頼ってみてほしいと思います。
「そもそも、後見制度と家族信託ってどう違うの?」という方は、別の記事でやさしく整理しています(公開後にこちらからご案内します)。
よくある質問(FAQ)
私が実際に「これ、どうなんだろう?」とつまずいた点を、調べた範囲でまとめました。最終的なご判断は、家庭裁判所や専門の窓口にご確認ください。
Q. 後見・保佐・補助は、自分で「うちは補助」と選べますか?
いいえ、自分では確定できません。どの種類にあたるかは、最終的に医師の診断などをもとに家庭裁判所が判断します。本人の状態(判断する力が「不十分/著しく不十分/欠けているのが通常」)に応じて分かれる仕組みです。
Q. 甥や姪でも、後見の申し立てはできますか?
できます。申し立てができるのは、本人・配偶者・四親等内の親族などです。おじ・おばから見て甥・姪は「3親等」で四親等内に入るため、甥・姪も申し立てができます。申し立て先は本人の住所地を管轄する家庭裁判所です。
Q. いちばん軽い「補助」は、本人が嫌がっても始められますか?
家族など本人以外が「補助」を申し立てる場合は、本人の同意が必要です。保佐・補助で、支える人に「代理権(本人の代わりに手続きする権限)」を付けるときも、本人の同意が要ります。軽い段階は本人の意思がまだしっかりしているので、本人と一緒に進めるのが前提になっています。
Q. 家族信託をしていれば、後見はいらないのでは?
役割が違うので、どちらが要るかは状況によります。後見・保佐・補助には、本人がしてしまった不適切な契約などを取り消せる「取消権」がありますが、家族信託の受託者にはこの取消権がありません。「本人名義の口座から、知らないうちにお金が動いてしまう」ような場面では、後見制度のほうが力になることがあります。どちらが合うかは、成年後見にくわしい専門家に相談すると整理しやすいです。
Q. まず、どこに相談すればいいですか?
迷う段階では、地域包括支援センター/市区町村の窓口/司法書士・弁護士が入口になります。私自身も地域包括支援センターに相談したことが、一人で抱え込まないための一歩になりました。
この記事で参考にした公的な情報源(一次ソース)
「相談する前に、自分でも確かめておきたい」という方へ。本文で触れた制度や手続きは、次の公的なページでご確認いただけます。
- 成年後見の3種類(後見・保佐・補助)の概要:裁判所「成年後見制度(後見・保佐・補助)の概要」
- 「補助」は本人の同意がいる:裁判所「補助開始」
- 後見・保佐・補助の権限など(Q&A):法務省「成年後見制度・成年後見登記制度 Q&A」
- 年金は本人名義の口座にしか振り込めない:日本年金機構「受取機関の変更」
※リンク先はいずれも公的機関のページです(2026年6月時点)。制度は改正されることがあるので、最新の内容は各ページでご確認ください。
※この記事は私(すみえ)の体験にもとづく、一般的な内容です。私は専門家ではありません。制度や手続き、申し立てできる人の範囲は、時期や状況によって変わることがあります。最終的なご判断は、家庭裁判所・司法書士・弁護士・地域包括支援センターなど、専門の窓口にご確認ください。

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