2021年、祖母が亡くなり、祖母名義の自宅を売却することになりました。祖母の自宅が建てられたのは昭和44年。祖父が寝たきりになってしまい、社宅から引っ越さなければならず、退職金で平屋の家を建てました。私が物心ついた時には一部屋増築していたのを覚えています。
手書きの登記簿を基に確認をしつつ、各自治体に出向き、必要書類を請求して……これで住所変更登記ができるなと思ったら、今度は「増築した車庫の箇所が未登記」という想定外の事実にも直面し…。
このブログ投稿ですが、手帳にびっしり書き込んだメモを基に投稿しています。日付や書類がそろった日数を調べてみると住所変更登記だけでも3か月以上はかかっていました。
2026年4月から「住所変更登記の義務化」になるということを知り、2021年当時の私が体験した手続きと今回の義務化による手続きの違いや方法をまとめました。
⏱ 30秒まとめ
- 2026年4月1日から、住所変更登記が義務になりました(変更から2年以内に申請)
- 違反すると5万円以下の過料。猶予期間は2028年3月31日まで
- 過去の引っ越し分も、猶予期間内に申請すればOK
- 「スマート変更登記」なら、添付書類なし・スマホだけで完結できます
- まずは334円で、登記の現状確認だけでもしてみてください
プロローグ:2026年4月、住所変更登記が「義務」になりました
2026年4月1日から、不動産を持っている方に新しい義務が生まれました。
住所変更登記の義務化です。
引っ越しをしたあと、登記上の住所をそのままにしておくと、法律違反になります。違反した場合、5万円以下の過料(行政上の制裁金)が科される可能性があります。
- 住所・氏名が変わったら、変更から2年以内に申請が必要
- 猶予期間は2028年3月31日まで(過去分も対象)
- 相続登記(3年以内)より1年短い「2年」という期限に注意
以前、法務局を訪れたとき、壁に「不明な登記一覧」と書かれた張り紙が貼られているのを見たことがあります。登記簿上の所有者が30年以上前に亡くなっているのに、相続登記がされていない土地のリストです。
「うちは関係ない」と思いたいところですが、私が2021年に経験したように、昭和の登記簿が残っているだけで現状がわからない、ということは珍しくありません。そのリストに載るような事態を防ぐための第一歩が、今回の義務化だと私は受け止めています。
私が当時経験した苦労と比べると、手続きはずいぶん簡単になっています。相続登記と住所変更登記を完了した後から義務化へと進んでいたようです。
私の体験:2021年——昭和の書類と、転々とした叔父の戸籍と
2021年7月。私は初めて登記手続きというものに関わりました。祖母名義の自宅を売却するためには登記の名前を変更しなければならなかったからです。
集めた書類の量に、まず圧倒された
被相続人(祖母)側では、戸籍謄本・除籍謄本・改製原戸籍、住民票の除票または戸籍の附票が必要でした。(これらについては「法定相続情報一覧図」を2021年3月に作成したのでこの用紙一枚を提出して完了しました)相続人全員の戸籍・住民票・印鑑証明書・遺産分割協議書。さらに法務局に出す固定資産評価証明書と相続関係説明図…。
手帳のチェックリストを見返すと、当時の自分がいかに必死だったかが伝わってきます。

司法書士の先生に最初の打ち合わせで渡された書類リストを見て、相続手続き書類の多さといつになったら終わるんだろう…という気持ちがありました
「増築した車庫が未登記だった」——想定外の壁
調べていくなかで、後から増築した車庫が登記されていないことが判明しました。
(東北地方の豪雪地帯。屋根があり、シャッターで囲まれている「シャッター付きガレージ」のようなものです。車庫やガレージが登記の対象になるかどうかは、その「構造」によって決まるようですので確認を)
本来、新築した建物は取得から1ヶ月以内に「表題登記」をする義務があります(不動産登記法第47条)。それをしないまま放置された建物を「未登記建物」と言います。怠ると10万円以下の過料の対象にもなります。未登記のままにしておくと、このようなケースが起こるようです。
- 固定資産税が正しく算定されない(場合によって高くなることも)
- 売却できない・住宅ローンが組めない
- 所有権や担保権を登記簿で証明できない
「まあ後でいいか」と思った増築が、何十年も経ってから壁になる。そういうことが、実際に起きるんだと身をもって知りました。
転々とした叔父の戸籍を、各地に請求した
相続手続きでは、法定相続人を全員確定する必要があります。すでに亡くなった方の戸籍も、集めなければなりません。
父の弟——私の叔父は、かなり転々としていた人でした。2021年当時は戸籍の広域交付制度がなく、転籍のたびに各自治体へ個別に請求が必要でした。一枚ずつ遡りながら戸籍をそろえていく作業は、想像以上に時間がかかりました。いとこにも協力してもらい、本当に感謝しています。

今は最寄りの窓口でまとめて取れる『広域交付制度』が2024年3月から始まっています。当時の私といとこがこの制度を使えたら、泣いて喜んでいましたね。
昭和40年代の登記簿と、毎日にらめっこ
書類を調べていくと、昭和40年代の古い登記簿が出てきました。測量精度も今とは違う時代の記録を、現在の登記情報と一枚ずつ照らし合わせていました。2021年当時、登記ねっとで取り寄せた土地の登記事項証明書、公図の写し(500円)、地積測量図(150円)を取り寄せ、ペイジーで支払い、確認していく日々でした。

そして、もうひとつ、衝撃的な事実にも直面しました。
祖母が「自分の土地」を知らずに、お金を払い続けていた
祖母の家に隣接する田んぼ。道路まで10メートルほどあるのですが、祖母は「隣接する田んぼの人の土地」だと思い込んでおり、田んぼの持ち主に毎年現金を渡していたという事実を知りました。
その話を真に受けていた父も「あの道路敷地を寄付(自治体へ)してくれればいいのに」と話していたのを覚えています。
車庫の未登記の件もあったので改めて古い登記簿を遡り、調べてみると…その土地は祖母名義で登記されていました。
さらに判明したのは、祖母が隣の田んぼの持ち主に、年間1万円を何年も払い続けていたという事実。なぜそのようになったのかはわからないままですが、お金を渡されていた方の祖父の代からの話で本人も理由がわからず、毎年頂いていたそうです。これも後日知りましたが、田んぼ周辺の草刈りをした際に一緒に祖母宅周辺も刈っていただいていたようです。
私と直接お話をしてお互い理解したうえで、その年で支払を終了することになりました。
登記が曖昧なままだったり、親族だけのルールなど世代交代をしてしまうと、今の世の中でとても必要な「一次ソース」が何なのかすらわからなくなり、月日が過ぎていく…。もし親族同士で集まることがあったら、私の投稿をきっかけに確認をしていくことも大切だと思います。

祖母は私には黙っていました。父が先に亡くなってしまい、祖母なりに私に迷惑をかけないように行動をしていたことも多かったので責められませんが、登記をきちんと確認していれば、そのお金は祖母の年金でしたし、祖母の生活も少しは楽になったのかなと思います。
「2年」と「3年」——知らないと危ない、期限の落とし穴
住所変更登記(2年以内)と相続登記(3年以内)。この「1年の差」が、思わぬ落とし穴の要因になるかもしれません。
相続が発生して順序よく「次はこれを処理して…」なんてなかなかできません。これまで親族含めて4人の相続手続きをしましたがスムーズにいったことはありませんでしたし、相続のプロでもある司法書士さんでもそのケースに応じて調べたり税理士さんに確認をしたりする場面をよく見ています。
「相続登記をしなければ」と気づいたときに調べてみると、こんなことが起きます。
- 亡くなった親が、生前に引っ越していたのに登記住所がそのままだった
- 相続人である自分自身が、数年前に引っ越して住所が変わっていた
- 一人暮らしをしていた親の家の名義が曾祖父だった
「相続登記をしようとして初めて、住所が変わっていた・名義が違っていたことに気づく」——これが連鎖反応です。
私はこの内容には該当したことがありませんが、名義が被相続人の両親や祖父母だったとしたら、住所変更登記の2年の期限ギリギリになるのでは…? 名義が「亡くなった祖父母」や「昔の住所の親」のままだと、いざ手続きしようとした時に大量の戸籍集めや親戚全員のハンコが必要になるケースもありますし、それをすべて集まる日数を考えると…気づいたときには、住所変更の2年期限が相続登記の3年期限より先に来ている…。私が2021年に経験した昭和の手書き登記簿と格闘し、相続登記を進めただけでも時間がかかるのに。正直ゾッとしました。

相続登記をしようとして初めて、亡くなった親の住所が昔のままだと気づく——これは珍しいことではないと思います。登記を『相続のとき』だけ考えていると、住所変更の期限が先に来てしまうんです。
混乱しないための「順番」の整理
| 順番 | やること | なぜ今? |
|---|---|---|
| Step 1 | 今の自分の住所と登記が一致しているか確認(334円) | 相続が起きる前に済ませておくと、後が楽になる |
| Step 2 | 実家・親名義の不動産の登記住所を確認 | 親が生前に引っ越していた場合、相続前に発覚できる |
| Step 3 | 未登記の建物がないか把握しておく | 増築・車庫・物置など。いざというとき慌てないために |
「相続は3年あるから余裕かな」と思っていると、住所変更の2年期限が先に来てしまいます。今のうちに自分と親の登記状況を確認しておくことが、いちばんの備えです。
新旧比較:2021年と2026年——手続きはここまで変わりました
あの苦労から5年たち2026年現在の手続きと比べると違いがあります。
| 項目 | 2021年(私の体験時) | 2026年(現在) |
|---|---|---|
| 住所変更の義務 | 任意(罰則なし) | 義務(2年以内。違反は5万円以下の過料) |
| 戸籍の収集 | 各自治体に個別請求 | 最寄りの窓口で一括取得可能(広域交付) |
| 添付書類 | 住民票や戸籍の附票が必須 | 省略可能(スマート変更登記利用時) |
| 申請方法 | 書面か複雑な専用ソフト | スマホ・ブラウザから申請OK |
| 本人確認 | 窓口・郵送・複雑な電子署名 | マイナンバーカードで完結 |
「義務化されて怖い」だけで終わらせてほしくないのは、ここです。義務化と同時に、手続き方法が簡単になっていることに気づきました。昭和の書類と格闘した私が言うのですから、信じていただけると思います。
私が手続きをしていた2021年当時、住所変更登記も相続登記も「任意」でした。期限もなく、放置しても罰則もなかった。だからこそ全国で「昭和のままの登記」が積み重なり、私のような苦労が生まれていたのだと、今は思います。2026年に国が「2年以内」という期限を設けたのは、そういった負の連鎖を断ち切るためのメッセージなのかもしれません。
行動編:まずは334円で、現状確認だけしてみてください
難しく考えなくて大丈夫です。最初にすることは、自分の登記の状態を確認することだけです。
ステップ1:登記情報提供サービスで確認する(334円)
登記情報提供サービス(https://www1.touki.or.jp/)は、一般財団法人 民事法務協会が運営する公式サービスです。ブラウザから不動産の登記情報を確認できます。以前はIDの取得が必要でしたが、現在は一時利用も可能になりました。土地・建物各334円で確認できます。
確認するのは「所有者の住所欄」だけです。今の住所と違っていれば、変更登記が必要です。
⚠️ ご注意:偽サイト(フィッシングサイト)への誘導が報告されています。必ず上記の公式URLからアクセスしてください。また、利用時間は平日8:30〜21:00です(時間外はアクセスできません)。

私が使っていた2021年当時はIDが必要でしたが、今は一時利用もできるとのこと。これは便利になりましたね。
ステップ2:スマート変更登記で申請する
住所変更登記には今、「スマート変更登記」という簡便な方法があります。マイナンバーカードで本人確認し、条件を満たせば住民票などの添付書類も不要。ブラウザから申請できるので、法務局に出向く必要もありません。「自分でやってみたい」という方には、まずこちらをおすすめします。
自分に合った申請方法を選んでください
| 方法 | こんな方向け |
|---|---|
| スマート変更登記(ブラウザ版) | 自分でやってみたい・費用を抑えたい |
| 法務局の窓口 | 操作に不安がある・確認しながら進めたい |
| 司法書士に依頼 | 複数物件・複雑な事情がある・確実に済ませたい |
期限だけ、もう一度確認しておきます
- 2026年4月1日〜:住所変更登記が義務化。変更から2年以内に申請が必要
- 2028年3月31日まで:猶予期間。過去の未申請分もこの期限内に申請すれば対象
- 相続登記(3年以内)より1年短い「2年」という期限に注意してください
よくある質問(FAQ)
Q. 引っ越してから何年も経っています。今から申請して間に合いますか?
2028年3月31日の猶予期間内であれば、過去の住所変更分も対象になります。慌てず、でも先延ばしにせず、今年中に動いておくことをおすすめします。
Q. 住所変更登記と相続登記は、別の手続きですか?
別の手続きです。相続登記は「名義を誰に変えるか」(義務化・3年以内)、住所変更登記は「名義人の住所が変わった」ことを更新する手続き(義務化・2年以内)です。両方が必要なケースもあります。
Q. 「スマート変更登記」は誰でも使えますか?
マイナンバーカードをお持ちの方であれば、個人でも利用できます。複数物件をお持ちの場合や、事情が複雑な場合は司法書士への相談をおすすめします。
Q. 登記情報提供サービスとは何ですか?法務局と違うのでしょうか?
法務局が提供するオンラインサービスです。ブラウザから不動産の登記情報を確認できます。法務局窓口で取得する「登記事項証明書」と内容は同じですが、証明書としての効力はありません(閲覧用)。現状確認であればこちらで十分です。
Q. 「未登記建物」があった場合、住所変更登記とは別に対応が必要ですか?
はい、別の手続きが必要です。未登記建物の場合、まず「表題登記」をしてから名義変更や住所変更の手続きに進みます。私自身がこのケースを経験しています。不安な方は、まず司法書士か土地家屋調査士にご相談ください。
おわりに——昭和の書類と格闘した私が言えること
2021年に祖母の相続手続きをしていたとき、登記ってこんなに複雑なのかと何度も思いました。
昭和40年代の登記簿、各地への戸籍請求、未登記の車庫、「自分の土地」と知らずに払い続けていたお金——どれも、登記を放置してきた時間が積み重なった結果でした。
住所変更登記は、あのときの相続登記と比べると、はるかにシンプルです。でも、放置すると後になって大変になる、という意味では同じです。
まずは334円で現状を確認して、必要であれば今年中に動いてみてください。それだけで、将来の自分と家族を、少し守ることができます。
参考・根拠となる一次ソース
この記事の内容は、以下の公的機関の情報を根拠としています。
- 住所変更登記の義務化・過料(5万円以下)・猶予期間:法務省「住所変更登記の義務化」(不動産登記法第76条の5、第164条)
- 相続登記(3年以内)と住所変更登記(2年以内)の期限:政府広報オンライン「不動産の相続登記と住所変更登記の義務化」
- スマート変更登記(添付書類の省略):法務局「住所・氏名変更登記申請の簡素化について」
- 登記情報提供サービス(料金334円・一時利用):一般財団法人 民事法務協会「登記情報提供サービス」
- 戸籍の広域交付(2024年3月開始):法務省「戸籍の広域交付」
- 表題登記の義務(1ヶ月以内・10万円以下の過料):不動産登記法第47条・第164条
※この記事は、筆者の個人的な体験と一般的な情報提供を目的としています。法律・登記・税務に関する個別の判断は、司法書士・税理士・弁護士などの専門家にご相談ください。
※制度の詳細や手数料は変更される場合があります。最新情報は法務局の公式サイトをご確認ください。
※記事内の体験は2021年当時のものであり、現在の制度・手続きと異なる部分があります。

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